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【ヴァンデミエールの翼-1巻】2話あらすじまとめ【鬼頭莫宏】

2話あらすじ-ヴァンデミエールの白翼


羽の生えた少女がある広場にある塔の上でカーニバルを連れたスチームカーを見下ろしている。

少女のすぐ側を飛行機が音を立てながら通ると、思わず少女は髪を抑えた。

飛行機の運転手であるウィルは、下に停まっているカーニバルを見つけその側に降り立つことを決める。

その後ウィルは地上に降りた少女に話しかけた。

「あんたはタワージャンパーかい?」

急に話しかけられて驚き、少女は黙っている。

ウィルは「野育ちか?心配して言ってやってんのに」と続けると

「私の羽はとぶためにありませんから、心配しないでください」と少女は答えた。

ウィルが疑問に思うと、少女はいう。

この羽は、憐憫を誘うためにあると。

少女はウィルと言葉を交わすと座長が興行妨害だと怒ると言って離れようとするが

調子のいいウィルは話し続けながら、さりげなく少女の羽を触る。

「興行飛行士とインチキ奇術集団、いい取り合わせじゃないか」

「失礼な人」と言って羽を掴んでいるウィルの手を振り払うが

うっかり名前を聞かれた時に自分の名前を答えてしまい話はウィルのペースに持っていかれる。

少女の名前はヴァンデミエールと言った。

新聞社に行く途中だといい、ウィルもちょうど用事があるから一緒に行こうと話すと

ヴァンデミエールは「私の話聞いてました?」といじりながらもくすくすと笑い楽しそうだった。


ウィルの名前を「飛行士らしい名前」だという少女の言葉には意味深な含みがあった。

願望を実現させる力ーそして、死の匂い。

二人が向かう新聞社が、どうやら懸賞飛行の企画をしており何人も挑戦者がいる中でまだ誰も成功していない上、

挑戦者のうちの一人は死んでしまったらしい。

ヴァンデミエールは、写真で見た複葉機に比べてウィルの飛行機は貧弱でとても成功しそうにないと言いました。

しかしウィル曰く複葉機は信頼性こそあれど、スピードが出ないため時間制限のあるこの企画には向いてないらしい。

それに比べてウィルの持つ単葉機俄然スピードが出るので、乗りこなせれば成功も目ではないそうだ。

ただ旋回能力の低さと構造的に脆くて、運転に危険が伴うのが欠点である。

ウィルはいう。これからは単葉の時代だと。

天使にさえも階級があるなんていう愚かな時代も終わる。

1組の翼しか持たない被差別天使も自由に飛べる、と。

話してるうちに目的地である新聞社に到着した。

ウィルは、自分の用事が少し時間がかかるから帰りは送って帰れないというと

ヴァンデミエールは1人で帰れますから、とそっけない。

しかしウィルがダメもとで待っててくれない?とお願いすると

行きの話が面白かったのか、ヴァンデミエールは嬉しそうに振り向き

「はい」と微笑み、「飛行機見せてくださいね」と言った。


ウィルの自慢の飛行機は「快速単葉機ホッブ・ゴブリン号」という名前だった。

名前が妖精であったのが子供っぽくて面白いらしく、ヴァンデミエールはクスクスと笑った。

ウィルが飛んでみないか?と誘う。

明るかったヴァンデミエールの表情がみるみる曇り

それをみてウィルが「俺の腕が心配?まだ墜落したことないんだぜ」と言うと

ヴァンデミエールは俯いたまま、「処分されるかも・・」と悲しそうに話す。

行っている意味がよくわからないままウィルは続ける。

「須く翼ってのは自由のためにあるんだぜ、地上の呪縛から解き放たれた神への逆豎」

ヴァンデミエールが戸惑っていると、ウィルは自由になれないからこそ思い切って飛んでみる経験が大事だと話す。

ヴァンデミエールは根負けして、クスリと笑う。

強引なところは正確なのか、はたまた飛行士の資質からなのか?

するとウィルは答えた。「スケベ心」

そして二人は、だだっ広い真っ青な大空をウィルの自慢の飛行機で思いっきり飛んだ。

座長の飼っているカラスがそれを目撃しているとも知らずに・・


座長はヴァンデミエールと同じようにつくられた子供の自律銅人形でも、気に食わなかったら容赦なく鞭で切り捨てる。

ウィルと親しくなったヴァンデミエールに罰を与えようと探し回っているようだった。

ウィルは寝室に駆け込んできたヴァンデミエールの手を取り一緒に興行の旅に出ようと誘う。

座長に真っ向勝負を挑もうとカーニバルに向かい、宣戦布告を叩きつける。

懸賞飛行で無事に成功したら、賞金がもらえるのでそれでヴァンデミエールを買おうと言うのだ。

座長は不適な笑みを浮かべながら、この勝負を引き受けた。

ヴァンデミエールと共に過ごす時間はお互いにとって楽しかった。

ヴァンデミエールがウィルに、空を飛ぶのは楽しいですか?と聞くと

ウィルは子供の頃の記憶を交えて話し出す。

ウィルは10歳の頃タワージャンパーで、自作の翼を背負って教会の尖塔の上から飛んだらしい。

当たり前のように落下し、父親にも酷く叱られたが

落下している時の感覚は、ウィルにとって忘れられない感覚のものだった。

父からの解放、母からの解放、鶏の世話や毎日のお祈り、

友達、つまらない中傷、教会、自分を縛りつけるものからの解放・・・

ウィルがその時に背負っていた翼が「ホッブ・ゴブリン号」であったため、

今の飛行機にも気に入って同じ名前を引き継いでいるらしい。

ヴァンデミエールに「飛行機に名付けるなら、どんな名前をつける?」とウィルが聞くと

ヴァンデミエールの答えは「ピスキー」だった。

ピスキーとは、、英国のコーンウォールなど南西部諸州の民間伝承に登場する妖精の一種で小さく滅多に姿は見えないらしく

ヴァンデミエールの背中に生えている翼とよく似た翼を持つらしいが

ウィルの住む世界では縁起でもないネーミングらしい。

「夏の世の白き蛾、洗礼を受けず死んだ子供の魂」


いよいよウィルがヴァンデミエールをかけて飛ぶ日になった。

滑り出しは順調、回帰点でもスピードを落とさずに城塔を旋回し、8周目に入る。

このペースだと成功する!そう盛り上がった時

座長は静かに笑い、ヴァンデミエールを抱き寄せ耳元で囁く。

「心配するな、お前が自由になることなどあり得ない。

あの男は死ぬのだから。」

座長の不吉な予言に戸惑うヴァンデミエール。

そうこうしているうちにウィルの飛行機は最後の10週目に突入する。

ヴァンデミエールは地上からウィルが飛ぶ空を見上げて必死に祈る。

城塔を旋回し、直進する!

ゴールテープを颯爽ときり会場が歓喜に包まれたその時、

真っ黒なカラスがウィルの飛行機めがけて突進する。

「バードストライクだ!」

カラスはあっという間にエンジンに吸い込まれ、飛行機は真っ逆様に地上に墜落する。

「遺言書を書いておけばよかった、そうすれば俺が死んでもヴァンデミエールを自由にしてやれたのに」

ウィルは遠のく意識の中そう後悔した。

病院に運ばれたウィルは生死を彷徨う状態で、かなり危険だった。

ベッドの上で、意識がないウィルにそっとキスをし、ヴァンデミエールはどこかへ行ってしまった。

ウィルが気がつくと、ヴァンデミエールはおらず代わりに座長が立っていた。

「ヴァンデミエールはどこだ?」ウィルがそう尋ねると座長は答えた。

「ヴァンデミエールはもうここには存在しない」

「私の腕をすり抜けて、自由になってしまった」

その言葉にウィルはハッとする。

あのあとウィルが自分のために犠牲になったことに絶望し、尖塔の上に立ったヴァンデミエールは

タワージャンパーのように飛びおり、自らの命を絶ったのだ。


翌日の新聞はトップで2つの墜落記事を載せた。

1つは周回記録を達成しながら墜落した飛行士と

翼を背負って飛び降りたタワージャンパーの娘。

怪我が治ったあと、ウィルは賞金で2組の白い羽を持つ競技用複合機を買った。

ウィルはその飛行機をピスキーと名付け、巡業と競技会参加を続けた。

やがて大戦が勃発、終戦後には単葉機の時代に移り変わると共に

複葉機の時代が終わっても、ウィルはピスキーと共に空を飛び続けた。

時間が経ってもピスキーに乗り続けることでヴァンデミエールのことを想いだしていたのかもしれない。


いかがでしたでしょうか?

ヴァンデミエールの翼は2巻まで発刊されていますが

その中でも一番好きな話がこの話です。

お互いに惹かれあっていた二人でしたが

お互いのことを思ってすれ違い、死んでしまった後も

ピスキーと名付けた複葉機を可愛がり続けたウィルの行動を想うと非常に切なく

こんなに美しい話があっていいのだろうかとまで思いますね。

ウィルがゴールテープを切った瞬間のヴァンデミエールの笑顔がとびきり嬉しそうで

めちゃくちゃ可愛いので、ぜひコミックスでもご覧いただけたらと思います。

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